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コンサート・レポート vol.3 『イタリア・バロックの黄金時代』
2009年07月14日 23:39
『イタリア歌曲への誘い~イタリア・バロックの黄金時代』2009年7月14日(火)
              於:神奈川県民ホール小ホール


洗足学園音楽大学教授でバロック音楽のスペシャリスト、藤原歌劇団でも御活躍されているバリトン歌手の牧野正人氏にレクチャーをして頂きながら、バロック時代中期・後期を中心としたプログラムでのコンサート。伴奏にはチェンバロ上薗未佳氏、ヴィオラ・ダ・ガンバ西谷尚己氏をお迎えして横浜シティオペラのメンバー8人が演奏しました。

コンサート直前に牧野氏に、このバロック・コンサートの楽しみ方をお伺いしました。

「後世、パリゾッティ等によってピアノ編曲された楽譜を使わず、オリジナルの通奏低音と和声の番号だけが記された楽譜を使用する事で、より作曲された時代に近い演奏をお楽しみ頂けるのではないしょうか。」(牧野氏談)

また西谷氏のヴィオラ・ダ・ガンバは1703年にドイツの製作者ヨアヒム・ティルケによって作られたものだと教えていただきました。

牧野氏の「ヴィオラ・ダ・ガンバのガンバはイタリア語で脚の意味。チェロと違うのは下に支える棒が無くて脚で挟んで支えるところです。チェンバロはピアノの前身楽器ですが違うのは音を引っかいて出すところで音色も全然ちがいますよね。」と言う説明に客席のお客様方がうなずいていらっしゃいました。

牧野氏の楽しいお話と共にイタリア古典歌曲の数々やヘンデル・ヴィバルディの作品が歌われました。ダ・カ-ポ形式ABAの常にのっとり、Aに戻ってきたところで、歌手の皆さんは華やかなヴァリエーションを付けて歌っていました。


休憩時間に第1部でA.スカルラッティの「もしあなたが私の死の栄誉を」と「私は嘆き」の2曲を歌われたソプラノの丸岡千奈美さんに簡単にインタビューさせて頂きました。

Q. 耳慣れたイタリア古典歌曲を歌われましたが、後半の装飾音はどのように付けられたのですか?

A. バロックは初めてだったので、牧野先生のレッスンに伺って教えて頂きました。装飾音は音を分割する事で(division)言葉を強調するのだという事でした。私はスカルラッティでバロック前期の作品だった事もあり、何でも装飾音を付ければ良いというものではなく、言葉のアクセントのある音節に装飾音をつけなさいと教えて頂きました。(後期バロック、ヘンデル位になると装飾音はもっと崩れていくのだそうです。)

Q. 最後に歌われてご苦労された事は何ですか?

A. チェンバロの上薗さんのところに合わせに行った時に、装飾音を聴音できるようにキッチリ歌うのではなく装飾に聞こえるように歌ってくださいといわれた事でしょうか。



歌い手の皆さんは装飾音も含めスタイルを熱心に研究されて歌っていらして、大変、聴き応えがあるコンサートでした。そして古楽器の響きもとても素敵でした。平日の夜と言うことでお客様がそれ程多くないのが本当に残念に思われました。


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