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コンサート・レポートvol.4 『イタリア近代歌曲の夕べ』
2009年07月21日 23:47
『イタリア歌曲への誘い~近代イタリア歌曲の夕べ』
 2009年7月21日(火)   於:神奈川県民ホール小ホール

イタリア・オペラ翻訳家でアウラ・マ-ニャ出版社代表の、とよしま洋氏をゲストにお迎えしてレクチャーして頂きながら、横浜シティオペラ会員(歌い手10人・ピアニスト2人)の演奏による1800年後半~1900年半ばに作られたイタリア近代歌曲のコンサート。

コンサート開催まえに楽屋に伺い、とよしま氏にお話をお聞きました。

Q 翻訳家を目指されたキッカケは何だったのでしょうか。

A 中・高校生時代、イタリア・オペラの引っ越し公演に時めいたものの、何を歌っているのか疑問に思ったことがキッカケです。イタリア語の基礎を日本で学び、ペルージャ外国人大学へ留学、イタリア文化(美術・音楽史)を学びました。

____意気込んで日本語には触れまいと本も持って行かず、また日本人が一人もいない状況で満たされるものがなく精神不安定になり、9か月で帰国。イタリア大使館に2年ほど勤務。その間にも歌手が歌詞について質問しに訪れるのを見て、夢をあきらめてはいけないと、ベル-ジャに再入学。4年と少し勉強して帰国。

イタリア語教室を開くと声楽家が集まるようになり、訳詞を渡すということをやっていくうちに本を出版されたり、オペラの字幕を手掛けるようになったそうです。____

Q オペラと歌曲を翻訳される時の違い、また気をつけていらっしゃる事を教えて下さい。

A オペラはストーリーがあるから判りやすいです。わからない言葉があっても、前後で想像出来たりもします。歌曲は詩として_音楽がなくても文学として_成立しているので、元のイタリア語どおりに、なるべく主観を入れないで、日本語の中にピッタリする言葉を探すのに1か月かかる事もあります。

Q お好きな作曲家、詩人を教えて下さい。

A オペラではプッチ-ニが言葉が流れていて訳しやすいです。ヴェルディには力強さがあり訳しているとエネルギーを与えてくれます。歌曲ではチマ-ラが好きです。

詩人では詠んでいるだけで響きが音楽になる_例えばパスコイなんかが好きです。ダンヌンツィオの詩は官能的過ぎて、訳していて恥ずかしくなります。

Q 最後に今回のコンサートを楽しむ秘訣を教えて下さい。

A オペラ全盛の時代より前は音楽が主流でしたが、近代歌曲の時代になると「初めに詩、その詩を表現するために、どういう風に曲をつけよう・・・・」と言う風になってきます。詩の中味を吟味して読んで頂けると楽しいと思います。


演奏はオペラ作曲家レオンカヴァルロやプッチーニ、マスカーニ、チレーアなどの作品もあれば、トスティ、チマーラなどの作品もあり、盛り沢山なプログラムでした。


休憩時間に第1部最後に歌われた横浜シティオペラ理事の岡田道子先生に簡単なインタビューをさせて頂きました。

Q 今回はマスカーニの歌曲を選曲されていますが、何故この2曲を選ばれたのですか。

A 2曲のうち特に「月」は〈月・青い色・悲しみ・・・〉と綺麗な言葉が使われ、マスカーニらしさが見られるこの詩に共感したからです。楽譜にも沢山の速度記号が書かれていてマスカーニ自身もこの曲も気に入っていたのではないかと思われます。私は修士の修了演奏で「カヴァレリア・ルスティカーナ」を歌いました。マスカーニが大好きなんです。その時の演出は芸大最後になった栗山昌良先生でした。

Q 最後に、演奏されてご苦労された点は何でしょうか。

A オリジナルのSoprano用の調で歌ったので、Mezzosopranoの私にしては音が高く大変でした。


コンサートで演奏された多くの歌曲は、とよしま氏曰く本拠地イタリアでは殆ど演奏されず、またCDも無いようなものもあるとの事です。そういう意味でも貴重なコンサートだったと言えましょう。後半、ベテラン勢の演奏は本当に圧巻でBravo!!の掛け声が何度も聞かれました。

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