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2019年07月17日(水) 
書名:現代京ことば 源氏物語三
   匂兵部卿ー夢浮橋
著者:中井 和子
発行所:大修館書店
発行年月日:1991/6/1
ページ:1373-1995頁
全三冊定価:20000円+税

著者は京都の商家の生まれ、どちらかというと下町生まれ、育ち。源氏物語を京ことばに訳そうと志し、天皇家ゆかりの尼門跡寺院大聖寺(だいしょうじ)の尼僧から100年前の京ことばを収集し、何度も朗読を繰り返して完成した「現代京ことば 源氏物語」です。今では山下智子さんが、全国を廻って朗読を披露しています。

横浜市の図書館にもこの本1セットだけありました。源氏物語三は待たずに借りられました。一、二は大勢の人が待っている。最後の三から読んでみたが、京ことばが判る人でも結構難しい。何回か読み返しながら読んでみた。源氏物語は主語に欠ける、述語の長い「源氏物語」の表現方法。また話が次々と別の場面、登場人物の話にと脈絡なく飛んでしまう。場面も、月日も飛ぶ。感覚的な話の綴り方、論理的な文章とはほど遠い。こんな源氏と京ことば以外と合っているような感じがしました。京ことばも省略(主語)が多いし、助動詞がすごく多く、形容詞もふんだんにある。だから話が飛んでしまう。それについて行ける人は少し昔の京都の人だけになってしまうところがある。

私は昭和20年代生まれで、100年前の京ことばというと明治に生まれたお爺さん、お婆さん、母の世代は普通に使っていた言葉。だから読んでも大抵は理解できる。懐かしい。でもその後1970年代頃からは京ことばも使われなくなって、標準語を京都風アクセントで使っている。横浜から帰省して嵯峨野線(昔の山陰本線)に乗ると京都弁が飛び通っていたが、現在は標準語、外国語になってしまった。そんな世代はこの本は難しいでしょう。でも言葉が消えることが、文化も消える。目に見えない大切なものがなくなっていく。それの進行を少し遅くしてくれる本かもしれない。こんな本はもう二度と作ることが出来ない本だと思う。

言葉は死んでしまう。そして復活するのは大変なこと。少しでも方言は大切にしたいもの。先日NHKのテレビで「松浦武四郎」のドラマをやっていたが、幕末に蝦夷地の探検に歩き廻り、アイヌと交流を描いている。明治になって「北加伊道」(北海道のもと)を提案したり、現在にも残る北海道の地名をアイヌの言葉を元に次々と提案していった。彼の幕末の活躍がなかったら、1番街区とか数字で順番に名付けられた地名ばかりになったかも知れない。時代は人を作るのですね。

京ことば 源氏物語
http://princeyokoham.sakura.ne.jp/smf/index.php?top…ic=30440.0

閲覧数700 カテゴリ本に出会う 投稿日時2019/07/17 15:44
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