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2019年08月06日(火) 
書名:横浜の歴史を彩った男 原三渓 別伝
著者:石毛 大地
発行所:藤原印刷
発行年月日:2017/1/15
ページ:177頁
定価:1300円+税

今、横浜美術館で原三渓が集めた作品の展示をしている。原三渓が集めた(購入した)作品は3400点ほどと言われている。でもそれ以外支援していた画家などから寄贈されている。それらを合わせて8000点ほどあるのではないかといわれている。太平洋戦争後、原家もその作品、三渓園を管理、維持していくだけの資産、財産もなくなって、横浜市に寄贈した。(当時の市長は平沼、平沼新田を開いた子孫)そして作品も上野の国立博物館、国立西洋美術館、五島美術館、根津美術館などいろいろなところに散逸した。今、それらの作品も合わせて展示しているので原三渓を知る上ではなかなか良い企画だと思います。

この本は三渓園のガイドボランティアをしている著者(戸塚区)が原三渓のいろいろな才能の内、絵画、彫刻、庭、建築、お茶などの文化面についてまとめてある本です。基本的にはベースに三渓園があります。今、横浜の人で三渓園のこと、原三渓のことを知る人は余りいないと思います。したがってこの本は入門書としてはよくかけていると思います。私は1980年頃三渓園にいって、もの凄く違和感のある場所という感じでがっかりした記憶があります。何し愛知の明治村、なんとなく周りとは異次元の建物がバラバラに建っている。そんなところだとおもって長い間、三渓園に行くことはなかった。ところがカメラを初めて蓮の名所が三渓園ということで2000年頃、本当に久しぶりに行きました。すると園内の植物もかなり育っていて、また裁断も旨く、日本庭園としてかなりのレベルになっていました。

この本を読むと昭和28年頃一応、復元した三渓園(庭の一部)は出来たが、2000年頃までかかって建物の修理、復元などを行っていた。とのこと。また庭師はやっぱり最初は京都から呼んでいる。今は教えて貰ってボランティア?
庭というのは手を入れすぎても、入れなくても良くない。そして良い庭は見ただけで判る。そんな怖いところです。2000年以降の三渓園は横浜近郊では「絵になる風景」と呼ばれてもおかしくない所ですね。何しろ神奈川県の中で一番国宝、重文があるところが三渓園です。

原三渓という人はバリバリの実業家で、東京に出ていれば渋沢栄一を超えたかも知れない。でも横浜にとどまって絹糸が不況になった3度の危機、関東大震災で横浜壊滅の危機、そんなとき横浜復興にリーダーシップを取って働いた人。それだけでなく明治政府の愚策、廃仏毀釈に端を発した美術品の流失にも心を痛め、購入している。松川幸次郞とは違ったコレクターで、集めた作品を生かして、画学生などと一緒に実物を見せながら作品評などを行っている。学生にすればそれはすごいこと。実物が見られる環境というのはすごいことです。下村観山、小林古径など支援を受けた人たちは次の日本画の道を開いた人。何でも後年平山郁夫がこの三渓園にきて、これらの人たちが集っていた部屋には恐れ多くて入らなかったという逸話があります。

実業家原三渓の本はいろいろありますが、三渓園と作品に限って書かれた本は少ないと思います。そしてそれも170ページ程度にまとまっているから読みやすい本ですね。ただ横浜市の図書館には無い。(揃えておいても良い本ではないかと思います)

横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション | 開催中の展覧会・予告 | 展覧会 | 横浜美術館
https://yokohama.art.museum/exhibition/index/201907…3-538.html

閲覧数2,244 カテゴリ本に出会う 投稿日時2019/08/06 21:38
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