中区本郷町、本牧町周辺の商店街を探検する「第4回 商店街うんちくツアー」が7月30日に開催された。
今回のテーマは「半てん・せんべい・アロハシャツ」。当日は一般参加者45人が商店街にある3店舗を巡り、店主たちが披露する商品やサービスのこだわりについてのうんちく話を楽しんだ。
まずは「白馬家」。
これで「しらまや」と読む。静かな住宅街の中にある古い煎餅屋さん。ここは教えてもらわないと、その存在に気づく人は少ない。
先代の当主は佐々木幸一といい、草加煎餅の老舗「大馬家」で修行をし、昭和9年に中区常盤町に開店。
戦時中は米の統制により休業を余儀なくされたが、昭和25年、現在地で再開した。
「白馬家」という屋号は、長野県の地名とは関係なく、先代が白井さんと大馬家さんにお世話になったことから、両者から一文字ずつ取ってつけたという。
白馬家の煎餅は、創業当時から醤油・ごま・砂糖の3種類だけの製造でやってきた。
また、先代は研究熱心で、草加の鉄工所と共同で自動煎餅焼き機も開発している。現在の機械は二代目で、昭和53年から使っている。
煎餅の原料はうるち米。昔は米を蒸してペッタンペッタンと搗いていたが、現在は草加から別注で取り寄せている。
小さな店の奥に製造場がある。
この日のために焼く作業をあわせてくれたようだ。
煎餅は生地をいきなり火にかけても大きく膨らまない。「ホイロ」というガス釜で前夜に1時間、当日に1時間半ほどかけ、その後さらに1時間ほど蒸らして初めて焼くことができるようになる。
その日の天候、気温、湿度によってこの時間が変わり、大きさや味に微妙な作用を及ぼす。
焼く工程に投入した煎餅は、順番に火力の強いところに移動し、後半では膨らんだ生地を押す工程に入り、色付けのトンネルを通過して醤油付けの機械に入って完成に近づく。
その後、ホイロの天井で乾かし、焼く工程の上で乾燥させる。手返しを繰り返し完全に乾燥させて完成。
見学を終えて製造場を出る際に、焼きたてを1枚ずついただいた。 熱くてパリッとしていて美味しい!
落語家の桂歌丸さんはじめ、有名人がご贔屓にしているそうだ。
続いて「安田屋呉服店」。
ここは明治44年創業の老舗呉服店だ。
なんとなく敷居が高そうな気がするが、入ってしまえばこっちのもの。
店内には洋服あり、ベネチアンガラスあり、洋風小物ありと、やはり外から中の様子を伺っているだけでは分からない不思議空間が広がっているのだ。
本牧には永禄九年(1566年)から400年以上続いている「お馬流し」という神事がある。神奈川県無形民俗文化財に指定されている行事だ。
そのお祭りで6町内の方々が着る半てんを、安田屋さんが作られているとのこと。
店内を見て回っていてしばらくは気づかなかったのだが、BGMには祭囃子がかかっていた。
お祭りグッズも豊富で、お囃子を聴きながら眺めていると、それだけでうきうきしてくること間違いない。
手拭いを6枚あわせて作る夏の半てんや、同じく手ぬぐいで作る地下足袋など、ユニークな商品が目に付く。
最近は「すててこ」が女性に売れるそうで、白だけではなくいろいろな柄ものができているという。
店主からは後ほどコミュニティハウスでお話が聞けるということで、次の店「本牧OZ」へ向かう。
最後は「本牧OZ」。
本牧に米軍住宅があった頃(1982まで)は、アメリカ人が買い物をしていた店。
身体のでかい外国人が巨大なシャツやズボンを買い来ていたし、今も来るという。
だが、ここで扱っているのは大きなサイズのものだけではない。昔から日本にないものを売っている。
アメリカまで自分で仕入れに行っているから、日本で流行する前の衣料品などは、ここから始まったというのも多いそうだ。
最近は円高なので、輸入品の買いどきだという。しかも、ここではまだドルで買い物できるのだ。
一歩、店内に入ると、ラジオから流れてくる放送はFEN!
http://www.kikuradio.com/info/afn.html
懐かしい本牧の音がそこにはあった。
ご主人にアロハシャツやアメリカ文化を語らせたら止まらない。まさにマシンガントーク!
アロハシャツというのは一時、登録商標になっていたのだが、正式に言うとハワイアンシャツ。
これはハワイでは正装であり、柄や色さえ考慮すれば冠婚葬祭にも使っているという。
その起源については諸説あるようだが、ハワイに渡った日本人移民が、着物の再利用の際にパラカ(ヨーロッパの船員たちが着ていた上着)に仕立てて着たということらしい。
だから、アロハには金魚や富士山といった和柄のものがある。最近は中国風な和柄も増えてきているが…
そのデザインパターンはいろいろあり、ハワイの風景のほか植物、鳥や動物などなどが使われている。
どれも身を守るという意味があるそうだ。
ちゃんとしたアロハはポケットの柄で分かる。本体の柄と繋がっていて一体になっているのはまともなもの。
襟の裏まで丁寧な仕事をしている。
素材としては、昔は絹やレーヨンだったが、その後、綿、麻、ポリエステルなどが出てきた。
絹、レーヨンは手入れが大変だが、綿、麻なら洗って干せばアイロンをかけずともパリっとする。
素肌の上に着れば風を通すので涼しい。風を着ているという感じだそうだ。
輸入衣料品のほかに帽子、カバン、雑貨なども取り扱っている。
アメリカの公衆電話機が、そのままお店の電話機として現役で使っているし、古いジュークボックスもあるので、店内を見ているだけでも飽きない。
こうして3軒を回った一行は、中本牧コミュニティハウスに戻り、白馬家のせんべいを食べながら交流会を行った。
参考
http://www.hamakei.com/headline/6276/
posted by よんなん