こちらは小学校の先生で、社会科見学で本牧リボンファンストリートを訪ねて来られたのがきっかけで、今日はお手伝いのため来てもらいました。 【本牧リボンファンストリート】 http://www.honmoku-street.com/
それでは資料を参考にしながらお話をしていきます。 半纏と法被はなかなか区別がつきづらいと思います。現代では同じようになってきていますが、もともとは職人の仕事着が半纏なのです。
昔は武士しか羽織を着ることができませんでしたので、それを簡略化したのが法被で、さらにそれを簡略にしたのが半纏です。 半纏も法被も襟を反さず着用しますが、以前は法被には胸紐があり、半纏にはそれがなかったのです。 ただ、現代ではほとんど同じような形になっています。
そして関東では半纏、関西では法被という言い方が多いようです。 一般では半纏と言っていますが、われわれはこれを印半纏と呼んでいます。背中に紋が入っているからですね。 これは職人とか、商人、火消し、そして祭りなどのものがあって、背中の印はどのくらいのものを、どこに入れるかというのは、だいたいの決まりがあります。
次に半纏のデザインです。関西と関東ではそんなに違いはないのですが、長さが違う。関西のほうが少し長いんですね。
半纏のサイズですが、2種類あります。2尺4寸の広巾と並巾です。2尺4寸の方は、これ1枚で全部を染めてしまいます。
並巾では半分ずつ染めてから縫い合わせます。 昔はこの並巾だけだったのですが、今は技術が向上して、2尺4寸の広巾で作っているのが多いです。 千葉商店さんの印半纏は古いもので、藍染めです。やはり並巾で縫い合わせています。 これはうちの半纏ですが、染めて2年。それから半年ほどおいて、お酢で洗ったりして色を落としたりしていますが、ある程度時間がたたないと落ち着かないですね。 会場から「袖の裏がおしゃれですね!」 次のこれは広巾で作った後ろが一枚ものですね。睦の半纏です。これは藍染とは違って捺染で染めています。 藍染は型を置いて蝋を塗ってから壷に入れて漬けてしまうのですが、これは型の上から色をつけてしまいます。今はこれが一般的ですね。 これは前の部分は染めているんですが、背中は手で書いているんです。 この型はどうなっているのかというと、広巾は大きくて持って来られなかったのですが、並巾の型をごらんいただきましょう。 和紙で出来ていて、このように彫っています。 半纏を作るのと同じ要領で被布というのを作っています。冬用のコートですね。 暖かいです。中の裏地をいろいろこることができます。 リバーシブルに作ることもできます。 これを機会に、こういったものにも興味をもっていただければと思います。
座長: 昨日は私の住んでいる町のお祭りがあったのですが、子供に半纏の着せ方を教えてもらうためと、ハンダコを買うために安田屋さんに行きました。 最近のお母さんたちはハンダコを知らず、皆さんサッカーパンツを履かせていました。 ハンダコを皆さんが見て「格好いいじゃない!」、「どこで売っているの!」と言われました。 やっぱりサッカーパンツよりハンダコですね。
参加者:半纏を1枚作ったら幾らくらいなのですか。お父さんの誕生日に買ってあげようかなと思うのですが、その辺が気になるもんで・・・
店主:これ(自分が着ている半纏)はお値打ち価格です。 今、スーツが9000円で買える時代です。しかし、半纏はそれなりの手間と時間がかかっているので、それなりの価格です。 何十万円もするわけではないですよ、数万円ですね。
参加者:どれも男性用のグッズのようですが、女性用のものはあるんでしょうか。
店主; 同じです。女性用は細くなっています。
参加者: 被布というのは、どういう方が着るものなのでしょうか。
店主: これは外に出るときに着る防寒着なんですね。お正月にトビの方が注連縄を張るときなどに着ることが多いです。
参加者: 町内会でお揃いのゆかたを作っていると思いますが、そんなときは、うちなんかも安田屋さんにお願いするんですが、30反くらい作ります。3年ぐらいごとにあと10反ぐらい作っておかないといけません。 型紙が和紙ですので、3年ごとくらいに使わないと型がボロボロになってしまいます。だからこうやって、町内のお揃いのゆかたが揃ったまま続いていくわけです。
参加者: 大漁旗は扱っていますか。
店主: 今までやったことはないですけど、頼んでいる工場があるので、出来ないことはないです。 その場合、デザインとお値段ですね。
参加者: 神奈川県では三富染物店というところが一軒だけやっているのですが、本牧で作ることが出来たらいいなと思います。 町内別の運動会をやっているので、町名を書いた大漁旗があればね。
店主: 18色とか24色とかですが、やってできないことはないです。
参加者: 「OZ」さんで聞いたように、アロハシャツに描かれた鳥は空の神様、魚は海の神様とか、着ている人を守るっていうことでしたが、安田屋さんで見たお祭りで使う半纏とは、神事ということで似ているなと思いました。
参加者: 市民プールを造っているころ、間門から桜木町まで市電に乗って東京の学校に通っていました。その後、しばらく栄区の方に行っていましたが、やっぱりこちらに戻ってきました。 娘も茅ヶ崎にいたのですが、近くに引っ越してきました。大好きな町です。 本牧の通りは車では通っているのですが、今回初めて消費者の立場で参加させていただきました。 知らなかったお店もあるので、車ではなく歩いて回るこの企画を続けてほしいです。 最近はマンションがたくさんできて若い人たちが住むようになってきたので、なんとかこの人たちが元町、山下町あたりだけではなく、地元に目を向けてもらえるようにがんばってほしいです。 ツアーの途中でいい喫茶店なんかも紹介してもらいました。スタバなどと違った感じで良かったです。今日は大好きな本牧の商店街を歩けて楽しかったです。
参加者: 本牧の皆さんの熱い思いを毎回、感じます。私は南区に住んでいるんですが、南区でも区役所あたりで誰かこういう企画をやってくれないかなと思っています。でも、地元のパワーがないといけませんけど、それも大事なんだなと思いました。
参加者: 町内別の資料を集めている歴史コレクターです。資料を貸してくださいといってくる一番多いのは、やっぱり米軍がいた頃の本牧なんですね。 そういう意味では、本牧のコンセプトというのはリトルアメリカしかないのではないかと。 たとえば標識を全部英語にするとか。本牧をアピールするにはいいんじゃないかと。 私は本牧で不動産屋をやっているのですが、店の前に「Trash」と書いたゴミ箱を置いています。ウエルカムゲートを造ったらいいのでは。
参加者: 伊勢佐木町に住んでいますが、最近このあたりに興味があって参加しました。普段はチェーン店とかよく知っている店に入ってしまいがちで、一人だと入りにくいお店というのがあるのですが、今日はそういうところにも入れることができてよかったです。 一度入ってしまえば皆さん親切でいろいろ教えてくれるのでよかったです。
参加者; 「本牧OZ」に入ってみたら、FEN放送とかアメリカの電話機とかがあって、さすがにアメリカンな店だなと思いました。大きなサイズの衣料品もあって、やっぱり外国人は大きいんだなと感じました。
参加者: 南区からやってきました。これで3回目の参加です。すっかりファンになってしまいました。普通に歩いていたり、お店に入って買い物していても、とくに違いというものはそれほど分からないのですが、店主のお話を聞いたり、商品の由来やお店の歴史を聞いたりすると、だんだん光って見えてくるんですね。 こういうのは他には無いんじゃないだろうかとか思えてきて、これは後で買いに来なきゃっていう気になります。 私の住んでいるマンションの前に、誰が買いにくるんだろうと思うような、古い小さな布団屋さんがあります。「綿打ち直します」なんて書いてあるんですね。一度入って聞いてみたいなと思うのです。なかなかそのチャンスがなくて、南区でもこういうツアーをやってほしいなと思います。誰に頼めばいいんでしょうかね。 町内会長: 222系統のバスが通っている道の南側が「本牧2丁目南部町内会」、その道を挟んだ北側が「本牧2丁目北部町内会」です。私はここに76年間住んでいます。 自分では自分のことが分からないということがありますが、本牧に住んでいると本牧のいいところが分かりません。 うんちくツアーを始めたのは、そもそも、大型店舗が出来てこちらの商店街のほうも何とかしないといかん、ということになりました。 222系統が通るようになったが、本郷町、本牧町の商店街が協力してくれた。そんなこともあって、じゃあ商店街にカツを入れようということになり、うんちくツアーが始まった。 だから本来の目的は、単に珍しいお話を聞くだけではなく、今日、お帰りになったら、本郷町商栄会とか、本牧リボンファンストリートとか、面白い商店街があるよと紹介していただく、まず顔を見せることが大事。 今日、一番感激したのは、こちらにおられる職員が来られたこと。この方は今は中区役所の職員ではありませんが、最初に商店街をなんとかしましょうよということで、このツアーを計画してきたのです.今日は駆けつけてくれて本当にありがたく思っています。
座長: それでは、最後に本郷町商栄会会長である都屋ふとん店の佐久間さんに閉めのお言葉をいただきたいと思います。 佐久間さん: 長時間ほんとうにありがとうございます。先ほど来、皆さんのご意見を、お話を聞きながら、本当に涙が出る思いがしていました。本郷町商栄会、本牧リボンファンストリート、本牧1丁目東商友会の皆さん、本当に幸せだなぁと思っております。 皆さん方との出会いがあって、ここぞというところの視点が見えてきた気がします。 私は日ごろから人との出会いを大切にしようと思っています。このうんちくツアーも2回、3回、そして4回と続いてきて、大変だなぁと思いつつ、逆に盛り上がってきて本当にうれしく思います。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 |